<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<rss xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom" version="2.0">
  <channel>
    <title>赤いはりねずみ</title>
    <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com</link>
    <description>赤いはりねずみ・小説更新情報</description>
    <atom:link href="" rel="self" type="application/rss+xml"/>
    <sy:updatePeriod>hourly</sy:updatePeriod>
    <sy:updateFrequency>1</sy:updateFrequency>
    <copyright>Copyright ©2026 山田英人.</copyright>
    <ttl>60</ttl>
    <item>
      <title>第十章　覚悟の帰国 - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38130</link>
      <pubDate>Sat, 07 Mar 2026 10:29:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　高志とエリカは診療所の待合室で、中庭のメープルの木を見ていた。
「エリカ、あの木を見ていてごらん。そのうちきっとリスが現れるよ。」
「そうなんだ。あの木にもリスがいるのね。」
「ああ。でも今日は現れないなあ。もしかしたらエリカを警戒しているのかもな。」
「そして、そのリスは高志さんの化身かもしれないわよ。」
　エリカは笑って言って、高志は苦笑した。
　そこへフーガが診療室から顔を見せた。
「どうぞ、沖本さん。それからエリカさんですね。初めまして、村科風雅と申します。
貴女の話は、沖本さんからよく伺っていますよ。今日はよく来てくださいました。」
「あっ、和田エリカです。よろしくお願いします。あのう、私は高志さんの病気とは関
係ないと思うのですが、何故、私が今日ここへ呼ばれたのでしょうか？」
「そうですね。まあ、こちらでゆっくりとお話ししましょう。今日はお二人にとって、記憶に残る一日になるの...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第九章　エディプス・コンプレックス - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38129</link>
      <pubDate>Tue, 03 Mar 2026 11:34:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　高志は、フーガの診療所にいた。
「そうですか、さすがは沖本さんですね。エディプス・コンプレックスの話をご存じでしたか。」
　フーガは、高志からオイディプスの物語を知っていると聞いて、そう言った。
「いいえ、僕が知っていたのはギリシア神話の方で、エリカがエディプス・コンプレックスの事を教えてくれたのです。」
「それでエリカさんは、エディプス・コンプレックスを何て言われましたか？」
「父親へのライバル心だと言っていました。」
「それは去勢された息子のように穏やかなコンプレックスですね。いや、失礼。これは嫌味ではなく、エディプス・コンプレックスは父親に対するコンプレックスというよりも、去勢コンプレックスと申し上げた方がフロイトの考え方に近いのですよ。」
「また、難しそうなお話しですね。僕はギリシア神話のような単純明解、時には荒唐無稽な話の方が好きです。」
「では少しだけ荒唐無稽な私の話を聞いて...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第八章　オイディプスの物語 - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38128</link>
      <pubDate>Sat, 28 Feb 2026 09:44:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「沖本さんは、エディプス・コンプレックスという言葉を聞いた事がありますか？」
　高志が診療室から出る時に、フーガがそのように訊いた。
「えっ、エディプス？・・・コンプレックスですか？聞いたような気もするけど、知らないに等しいです。それが何か？」
「いえ、また次の機会にゆっくりとお話しましょう。それまでは、お祖父様との思い出に背を向けないでください。」
　フーガにそう言われて帰ってきたのだった。
　そこへ、再びエリカの口から飛び出したのがエディプス・コンプレックスだった。しかもエリカは、有名な言葉だとも言った。
「それで、それはどのようなコンプレックスなのかな？」
「父親に対するライバル心よ。」
「そりゃあ、男の子は誰だって、大なり小なり父親に対してライバル心を持つさ。」
「それが並みのライバル心ではないのよ。もう父親を殺してしまいたくなるようなライバル心よ。ギリシア神話の中では本当に父親を...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第七章　高志の祖父 - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38127</link>
      <pubDate>Tue, 24 Feb 2026 11:22:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　高志が三回の自由連想法を受けた次の診療日だった。
　フーガは、高志を診察している中で、突然に祖父の話をした。
「私の祖父は、牧師だったのですよ。」
「そうですか。では、お父さんも牧師だったのですか？」
「いいえ。父は平凡な学校の先生でした。」
　フーガは、ヴァイオリニストであった父をそのように説明した。父は実際に高校の音楽教師をしていたのだから、それは虚偽ではなかった。それよりも、ヴァイオリンや音楽の話になる事で、自分が意図した高志への診療から逸脱してしまうのを避けたかった。
　フーガは直ぐに話を元に戻した。
「沖本さんは札幌の出身だと言われていましたが、ご両親もですか？」
「父は札幌で、母は東京でした。」
「ところで、沖本さんのお祖父様も札幌だったのですか？」
「祖父ですか？・・・そうですね・・・僕はあまり記憶にありませんが、確か祖父の出身は札幌ではなく旭川だと聞いた事があります。」
...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第六章　自由連想法 - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38126</link>
      <pubDate>Sat, 21 Feb 2026 09:55:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「ただいま～。突然いなくなってゴメンね。急にプラハへ行きたくなったんだ。これ、
お土産よ。本場チェコのビールも買ってきたわよ。」
　エリカが、その辺の市場から戻ってきたような気軽な格好で現れ、普段と変わらない調子で話した。実際、お土産のビールが入っていたのは、どこかのスーパーのビニール袋だった。そしてその袋に書かれた文字はドイツ語ではなかった。つまりウィーンのスーパーの袋ではなかった。おそらくチェコ語で書かれているのだろう。つまり、エリカは本当にチェコへ行ってきたのだと高志は解釈した。
　エリカが突然出て行って一週間が過ぎていた。エリカはどこへ行ったのだろう？と心配し、このままエリカは帰ってこないのだろうかと、高志が半ば諦めかけていたのだった。
高志は一瞬怒鳴りかけたが思い留まった。そして間合いを入れて、冷静に言った。
「で、どこへ行ってきたって？」
「だからあ、プラハよ、プ・ラ・ハ。」
...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第五章　ヒグマとリス - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38124</link>
      <pubDate>Tue, 17 Feb 2026 10:09:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「先日は思いがけない所で、先生とお会いしてお話しが出来てよかったです。」
　高志はフーガの診療室にいた。その日は二回目のカウンセリングだった。
「先生のモーツァルト毒殺説を否定されるお話しが、とても興味深かったです。」
「あれは毒殺説を否定したのではなく、犯人がサリエリとは思えない、と言ったのです。それにしても、歌劇場であのようなお話しが出来て楽しかったですよ。ところで沖本さん、貴方は現在ウィーンで音楽活動をされていますが、それに関して何かご不満をお持ちではありませんか？」
「う～ん、そうですね。不満がない、と言ったら嘘になります。ただ、生活に困らないだけの演奏活動が出来ているので、自負心は持っています。」
「そこなのですが、満足ではない自負心には心の葛藤が伺えますね。ここで、言葉遊びをしても仕方がありません。沖本さん、一つ質問しますね。沖本さんは、もし自分の性格が内向的か外向的かと問われ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第四章　エリカの心理テスト - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38120</link>
      <pubDate>Sat, 14 Feb 2026 18:05:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　高志は、歌劇場から帰宅するとエリカは既に寝ていた。当たり前だった。帰宅時間は深夜の０時を過ぎていた。
　翌朝、エリカに歌劇場でフーガと会って話をしたと言った。エリカが心療内科のクリニックをしているフーガに、人間的な興味を持っている事を高志は感じていた。
　案の定、エリカは高志からフーガの話を聞き出そうとした。
「それで、先生とはどんな話をしたの？」
「普通に音楽の話だよ。」
「先生って、高志さんと音楽の事を話し合える程詳しいの？」
「ああ、僕より詳しいかもしれないよ。」
「ふ～ん、・・・そうなんだ・・・」
　それ程音楽に興味のないエリカには、これでもうフーガの話は終わってしまった。と、この時高志は思った。
　エリカは突然話を変えてきた。先日二人がした心理テストでの高志の反応が、予想以上によかった事にエリカは気をよくしていた。
「ねえ高志さん、動物になって。」
「えっ、なに？なに、動物にな...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第三章　ウィーン歌劇場にて - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38119</link>
      <pubDate>Tue, 10 Feb 2026 09:53:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ウィーンは機能的な街だ。その昔、街を囲むように大きなリング状の城壁があった。そ
のリングの内側で街が発展した歴史があった。
　そのリング状の城壁は近代になって壊され、その円状の跡地がリンクという幹線道路にな
り、そこを路面電車が走るようになった。路面電車から見たリンクの内側の街並み、それは昔から現在でも変わらない。そのリンクに面した内側の一画に国立歌劇場があった。

　高志は、ウィーン国立歌劇場に一人で来ていた。いつも一人とは限らないが、大抵は一
人でオペラを鑑賞する。立ち見なら千円程度で見られる。これが席に座ると場所によって
は結構な値段になる。
　今晩はヨハン・シュトラウス作曲のオペレッタ、つまり喜歌劇の『こうもり』だった。これは「こうもり男爵」とあだ名を付けられた男爵が、そのあだ名の原因となった悪戯を画策した伯爵に楽しい復讐をするという、ウィーンを舞台にした大人の色恋が盛りだくさん...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第二章　高志の恋人 - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38118</link>
      <pubDate>Sat, 07 Feb 2026 10:20:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「へえ～、その先生の名前、フーガっていうんだ。面白い日本人がいるじゃん。」
「僕たちと一緒にするなよ。フーガ先生はウィーンでも有名な先生だよ。」
　沖本高志は、自宅に戻って恋人の和田エリカに診療室での話をした。

　和田エリカとは二ヶ月前に知り合った。
　自分たちの関係を恋人というべきなのか？
　高志の中では、未だにはっきりとしていない関係だったが、男女の関係を持ち同棲までしていれば、恋人と認めるしかないだろう。
　高志にとって、エリカとの出会いは実に軽薄かつ軽率なものだった。
　高志が、観光客相手のウィーン何とかオーケストラのエキストラで、ヨハン・シュトラウスのワルツやポルカを演奏し終えて会場を出ようとしたその時、高志に声を掛けてきたのがエリカだった。
　エリカは一人でウィーン観光に来ていた。
「あ～、やっぱり日本人だった。よかった～。
　私、今朝ハンガリーから夜行列車でウィーンに着いた...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第一章　ある診療所で - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38117</link>
      <pubDate>Tue, 03 Feb 2026 11:18:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[少し大きな椅子に年配の男が座っていた。
対峙して座っていた高志が言った。
「日本語でよろしいですか？ドクター・フーガ。貴方にお会い出来て光栄です。」
「私はドクターではありませんから、ヘルン・フーガで構いません。と、こちらの患者様にはそう言っているのですが、日本人は律儀ですからねえ。皆さんは私を先生って言ってくれ、日本語で会話しています。ですから貴方も日本語で構いませんよ。」
「ではフーガ先生、僕にも日本語でお願いします。先生の評判はウィーンでも有名で、なかなかアポイントが取れませんでしたが、こうしてやっと先生にお会い出来ました。心より感謝いたします。」
「私は貴方が言うような、それ程の人間ではありませんが、心理療法士をやっている日本人という立場上、日本語が話せる私の方が日本人の皆さんにとっては都合がいいのでしょうね。」
「確かにウィーンには一万人以上の日本人がいると言われている中で、先生...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>プロローグ - 幻想交響曲（上巻）</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2461/section/38116</link>
      <pubDate>Tue, 03 Feb 2026 10:50:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台はウィーン。この物語は一通の手紙から始まる。心理療法士フーガ先生の診療所に一人の日本人ヴァイオリニストが訪れる。名前は沖本高志。
彼の診療から、話はとんでもない舞台へと展開する。～ピアニスティンより猫～シリーズの約１０年後の話だと前作を読まれた方は分かってもらえるだろう。
だとしたら、フーガ先生は村科風雅だとも理解して頂けるだろう。この物語は、全編はウィーン、後編は日本のある精神科病院を舞台にして、沖本高志を中心に、あの頃の懐かしい面々が再び動き出す。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　机の上には、開封された国際郵便の封書と一枚の手紙が置かれてあった。
　年配の男は、もう一枚入っていた国際郵便用の手紙を読んでいた。
『彼の手紙を読んでどう思った？
　小澤征爾の指揮でウィーン・フィルが幻想交響曲を演奏したＣＤなんてないだろう？
　そんな事は私もお前も、何よりも彼自身が分かっているはずだ。
　それなのに彼の手紙では、そのＣＤを送ってくれと、私に要求してきたのだ。
　どう思う？何か変だろう？彼がその何かを訴えているのだと、私は思っている。
　私は彼に手紙を送った。なぜなら、彼は現在携帯電話を所持できない状況にあるからだ。　　
　私は彼からの返事を待った。だが彼から全く返信がない。
　私は、このように考えている。
　そこにウィーン・フィルとあったのは、彼がお前とコンタクトを取りたがっているのだ
　と、私は解釈した。曲が幻想交響曲だったのも何だか、不吉な予感がするのだ。
　どうか...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第1話 - 碧い絆</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2351/section/35235</link>
      <pubDate>Sat, 23 Aug 2025 17:29:00 +0900</pubDate>
      <description>舞台は青海島。この山口県にある日本海に面した島であった祖母の通夜と葬式に俺は父親と一緒に参列した。
そこに突然現れた若い女性は、父親の姉の子どもだと名告った。その姉は、父親がまだ若い頃に旅芸人と駆け落ちして行方不明になっていた。
本作は、中国短編文学賞に応募して落選した作品で、それに少し補足したものである。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「ママァ、どうしてこんな遠い島に来たの？僕、お腹すいたよ。」
「もう少し待ってね。もうちょっと頑張ってみて、分からなければ諦めて帰るからね。」
　そこは、島の先端に位置する集落だった。
　万里子は、通りすがりの老人に声を掛けた。
「すみません。山田藤十郎さんのお宅をご存じありませんか？」
　もう何人の老人に声を掛けただろう。誰も万里子に期待させてくれるような返事をしてくれなかった。
「翔太、ごめんね。お腹すいたよね。あと三人だけ・・・あと三人に訊いて分からなければ、もう帰ろうね。」
　この集落に食堂はなかった。空腹を満たすには、またバスに乗って島から出なければならなかった。

　同じ日に、男二人が乗った一台の乗用車が、その集落に向かっていた。
「父さん、懐かしいね。小さい頃は定期船に乗ってこの海をよく渡ったよね。船で４０分掛かったけど、車でも橋を渡って島の先端まで４０分は掛かるもんな。思い...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>（15）エピローグ - プロデュース</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2194/section/34394</link>
      <pubDate>Sat, 02 Aug 2025 04:16:00 +0900</pubDate>
      <description>パンさんの母、佳音の遺言で始まったカノン・トリオ演奏会の最後をパンさんがプロデュースする事になった。
パンさんの人生に関わった人物たち、音楽愛好家たちがパンさんのプロデュースのもとに集いアンサンブルを組んで共演するようになる。
それぞれの人生が大きな運命によって一つの演奏会に集ってきたのだった。マリアとコンちゃんがパンさんと出会って始まったマラルメクラブ。
その第一作から始まった『ピアニスティンより猫』は、ここに完結します。音楽は彼らの周辺の人間たちを、幸せにしてくれるのだろうか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「なあトッカータ、そんなに急いでウィーンへ帰らなくても、もう少しゆっくり日本を楽しんで帰ったらよかったのに。」
　風雅は、見送りに来た西村学、南方響夫妻と一緒に国際空港にいた。
「いや、もう十分に堪能してもはや食傷気味だよ。今日は送ってくれてありがとう。それに響ちゃんまで見送りに来てくれて、本当に一人で帰るからいいってガクに言ったのに。」
「空港までくらい送らせろよ。それにお前、もう帰ってこないような気がしているんだよ。だって猫を飼い始めたんだろう。何て名だ？もしかしてまたヨハネスという名前じゃあなかろうな。」
「まさか、まだ子猫だよ。名前はまだ付いていない。」
　風雅はそう言うと、ケータイを取り出して写真を見せた。
「まあ、本当に可愛いらしいわ。ねえ、風雅さんが日本にいる間、この子猫ちゃんはウィーンでどうしているの？」
「知り合いに預けている。」
「知り合いって、お前まさか・・・まさか、...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>（14） - プロデュース</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2194/section/34393</link>
      <pubDate>Sat, 02 Aug 2025 03:45:00 +0900</pubDate>
      <description>パンさんの母、佳音の遺言で始まったカノン・トリオ演奏会の最後をパンさんがプロデュースする事になった。
パンさんの人生に関わった人物たち、音楽愛好家たちがパンさんのプロデュースのもとに集いアンサンブルを組んで共演するようになる。
それぞれの人生が大きな運命によって一つの演奏会に集ってきたのだった。マリアとコンちゃんがパンさんと出会って始まったマラルメクラブ。
その第一作から始まった『ピアニスティンより猫』は、ここに完結します。音楽は彼らの周辺の人間たちを、幸せにしてくれるのだろうか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　マリアとコンちゃんは、『イーゲル』にいた。そこは何度も来ていたホテルの中のカフェバーだったが、その夜はとても新鮮で少し神聖な気にさせられた。
　マリアたちがカウンター席に並んで座って、カウンター越しにマスターが対峙していた。それだったらいつもの関係だが、その夜は違った。マスターがいつも店にいる時の格好、つまり眼鏡無しで髪を後ろに束ねた姿ではなかったのだ。演奏会でのマスターは、青い眼鏡を掛けて髪を束ねていない天然パーマの姿だった。その時のマスター、久内守がそこにいた。
　カフェバー『イーゲル』のその夜は、貸し切りだった。カウンターの中には、マスターだけではなく、パンさんが並んで立っていた。
　その日は演奏会から一週間が過ぎていた。
　パンさんが、マリアたちに声を掛けた。
「早いものだね。ここで会うのももう最後になるのかな。もしかしたら、貴方たちに会うのも今日で最後かもしれないね。」
「えっ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>（13） - プロデュース</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2194/section/34392</link>
      <pubDate>Sat, 26 Jul 2025 10:21:00 +0900</pubDate>
      <description>パンさんの母、佳音の遺言で始まったカノン・トリオ演奏会の最後をパンさんがプロデュースする事になった。
パンさんの人生に関わった人物たち、音楽愛好家たちがパンさんのプロデュースのもとに集いアンサンブルを組んで共演するようになる。
それぞれの人生が大きな運命によって一つの演奏会に集ってきたのだった。マリアとコンちゃんがパンさんと出会って始まったマラルメクラブ。
その第一作から始まった『ピアニスティンより猫』は、ここに完結します。音楽は彼らの周辺の人間たちを、幸せにしてくれるのだろうか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　マイクからの心地いい男の声が、レセプション会場に響き渡った。
「皆様の多大なるご尽力により、本日の『カノン・トリオ+α演奏会』が無事に成功しました。また、チャリティーとしても多くの寄付金が集まりました事を祝して、ここにレセプションを開催致します。司会は僭越ながら、わたくし甲斐朗が務めさせて頂きます。どうぞよろしくお願いします。それでは始めに、神奈川県医師会会長の・・・」
  マリアが甲斐を見ながら、隣に向けて小声で言った。
「やっぱり甲斐くんはこのような役が向いているわね。そういえば大学でも、いつも司会をやっていたわよね。あれは天から授かった才能だわ。」
「やめてよマリー、恥ずかしい。パンさんからメールで司会の依頼があったと、アキラから聞いて、止めとけって言ったんだけどね。これは顔を売るチャンスだって言うから、神奈川県の医者に顔を売っていくらになるのよ、って言い返してやったわよ。」
「甲...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(12) - プロデュース</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2194/section/34391</link>
      <pubDate>Sat, 19 Jul 2025 13:18:00 +0900</pubDate>
      <description>パンさんの母、佳音の遺言で始まったカノン・トリオ演奏会の最後をパンさんがプロデュースする事になった。
パンさんの人生に関わった人物たち、音楽愛好家たちがパンさんのプロデュースのもとに集いアンサンブルを組んで共演するようになる。
それぞれの人生が大きな運命によって一つの演奏会に集ってきたのだった。マリアとコンちゃんがパンさんと出会って始まったマラルメクラブ。
その第一作から始まった『ピアニスティンより猫』は、ここに完結します。音楽は彼らの周辺の人間たちを、幸せにしてくれるのだろうか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「早いものですね。まだ先の企画だと思っていたら、あっという間に当日になったとい
う思いです。」
　午前中のリハーサルを終えたばかりのパンさんに、辻亨が寄ってきて声を掛けた。
「辻さんには、何から何まで本当にお世話になりました。医師会に共催を取り持って頂
いただけでなく、たくさんの病院に協賛して頂き、広告収入だけでも大変に助かりました。　協賛には長野の甲斐さんも力になってくれたのですよ。彼が勤めている銀行の伝手で、三件の企業から協賛を貰いました。辻さんは甲斐さんをご存じでしょう？」
「ええ、勿論知っていますよ。彼は朝早くから会場に来て、いろいろとお手伝いをしてくれているようですよ。そうそう、協賛といえば、パンさんは西村先生をご存じでしたよね？」
「西村先生・・・？」
「今、都立病院に勤務されている西村学先生ですよ。」
「ああ、息子の親友ですね。西村先生には、いくつかの病院の協賛を頂きました。...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>（11） - プロデュース</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2194/section/34390</link>
      <pubDate>Sat, 12 Jul 2025 07:46:00 +0900</pubDate>
      <description>パンさんの母、佳音の遺言で始まったカノン・トリオ演奏会の最後をパンさんがプロデュースする事になった。
パンさんの人生に関わった人物たち、音楽愛好家たちがパンさんのプロデュースのもとに集いアンサンブルを組んで共演するようになる。
それぞれの人生が大きな運命によって一つの演奏会に集ってきたのだった。マリアとコンちゃんがパンさんと出会って始まったマラルメクラブ。
その第一作から始まった『ピアニスティンより猫』は、ここに完結します。音楽は彼らの周辺の人間たちを、幸せにしてくれるのだろうか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　マリアは朝から落ち着かなかった。そのマリアと同じような感情を持った人物が他にもいた筈だった。その日は、初めて一緒に音楽をする者同士による、初めての練習日だった
からだ。
　曲はシューベルトのピアノ五重奏曲だ。その第四楽章に彼自身の歌曲『ます』の音楽が使われた。そして本来のピアノ五重奏は、ピアノと弦楽四重奏が一緒に演奏する楽器編成になるのだが、この曲では二名必要なヴァイオリン奏者が一名になり、もう一名の代わりに本来は入らないコントラバスが加わっていた。そのコントラバスを弾くのがコンちゃんだった。そしてピアノは、コンちゃんの母親である倉田茉莉だった。
　他のメンバーは、ヴィオラが久内守でチェロが村科風雅だった。
　それらのメンバーの中で、その日の朝を日常と変わらず淡々と過ごしたのは倉田茉莉だけだった。
「あなた、今日はリハーサルがあるから、東京まで出掛けてくるわね。」
「おお、いよいよ初顔合...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>(10) - プロデュース</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2194/section/34152</link>
      <pubDate>Sat, 05 Jul 2025 09:32:00 +0900</pubDate>
      <description>パンさんの母、佳音の遺言で始まったカノン・トリオ演奏会の最後をパンさんがプロデュースする事になった。
パンさんの人生に関わった人物たち、音楽愛好家たちがパンさんのプロデュースのもとに集いアンサンブルを組んで共演するようになる。
それぞれの人生が大きな運命によって一つの演奏会に集ってきたのだった。マリアとコンちゃんがパンさんと出会って始まったマラルメクラブ。
その第一作から始まった『ピアニスティンより猫』は、ここに完結します。音楽は彼らの周辺の人間たちを、幸せにしてくれるのだろうか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　まゆみは、まだ一歳だったマリアを連れてローマへ渡った。それは村科賢治と別れて、
指揮者であったジェゼッペ・ロッシと一緒に暮らす為にだった。マリアはジョゼッペの本
当の子どもだったのだ。
　ジョゼッペと遠距離恋愛だったまゆみが彼の子どもを宿した時、ジェゼッペは若手の売
れっ子指揮者だった。彼が来日して、まゆみが所属していたオーケストラで指揮をした縁
で、まゆみはジョゼッペと恋愛関係になったのだった。
　まゆみがジョゼッペに懐妊を告げられないでいた頃、賢治はそれらの全てを理解した上でまゆみに求婚した。二人とも三十歳を越えていた。その頃の賢治は、父子家庭として、まだ３歳だった風雅を育てていた。まゆみとは大学時代からの音楽仲間だったので、まゆみの性格はよく理解していた。
　二人が結婚してからマリアが産まれた。
　マリアが産まれた約一年後、ジョゼッペはマリアが自分の子だと知った。そしてまゆみに一緒...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>（９） - プロデュース</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2194/section/34151</link>
      <pubDate>Sat, 28 Jun 2025 09:44:00 +0900</pubDate>
      <description>パンさんの母、佳音の遺言で始まったカノン・トリオ演奏会の最後をパンさんがプロデュースする事になった。
パンさんの人生に関わった人物たち、音楽愛好家たちがパンさんのプロデュースのもとに集いアンサンブルを組んで共演するようになる。
それぞれの人生が大きな運命によって一つの演奏会に集ってきたのだった。マリアとコンちゃんがパンさんと出会って始まったマラルメクラブ。
その第一作から始まった『ピアニスティンより猫』は、ここに完結します。音楽は彼らの周辺の人間たちを、幸せにしてくれるのだろうか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　練習場に、青い縁の眼鏡を掛けた久内守がヴィオラを持って現れた。
「よお、マリアちゃん久しぶり。」
　その声の主は、マリアが知っていたマスターの印象とは随分とかけ離れていた。それに、初めてマスターからマリアちゃんと言われたので戸惑った。
「え～、あのマスターの久内さんですよね？全然違う人みたい。しゃべり方も、そんなに馴れ馴れしくなかったし・・・」
「ハハハ、そりゃそうだ。店では天パーの髪を伸ばして一つに纏めて、眼鏡も外してコンタクトにしているからね。でも今日は普段着の俺が、普段通りの演奏をするからよろしくな。で、お隣さんがマリアちゃんのお友達のめぐみちゃんだったね。それから君が村科風雅くんだね。今日はよろしく。」
　少し呆気にとられていた盛山めぐみが、村科風雅に目をやってから、久内に軽くお辞儀をした。
　久内は早々に楽譜を譜面台に広げると、楽器を取り出した。その一挙一動をみんなは見守りなが...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>（８） - プロデュース</title>
      <link>https://rotenlgel.kashi-hondana.com/author/page/2194/section/34150</link>
      <pubDate>Sat, 21 Jun 2025 11:48:00 +0900</pubDate>
      <description>パンさんの母、佳音の遺言で始まったカノン・トリオ演奏会の最後をパンさんがプロデュースする事になった。
パンさんの人生に関わった人物たち、音楽愛好家たちがパンさんのプロデュースのもとに集いアンサンブルを組んで共演するようになる。
それぞれの人生が大きな運命によって一つの演奏会に集ってきたのだった。マリアとコンちゃんがパンさんと出会って始まったマラルメクラブ。
その第一作から始まった『ピアニスティンより猫』は、ここに完結します。音楽は彼らの周辺の人間たちを、幸せにしてくれるのだろうか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「そうですか。私どもは気軽に演奏会を楽しんでいますが、企画される側はいろいろと大変なのですね。」
　パンさんは、辻亨が指定した時間に彼のクリニックへ行き、彼から誘われるままに近くの洒落たカフェバーに来ていた。
「そうです。お陰様で今日正式に、県医師会館ホールの使用許可願いを申請して受理されました。それから県と市の教育委員会にも後援願いを提出してきました。後は、演奏会の三ヶ月前には報道関係を回って告知のお願いをしてみようと思っています。」
「だったら新聞社や放送局にも後援願いを出されたらよかったのではないですか？共催は県の医師会がやってくれますが、後援の方はたくさんあってもいいのでしょう？」
「ですが後援して頂く団体があると、ポスターやチラシ、それにパンフレットに後援団体の名前を絶対に記さなければならないのです。後援団体名がポスターやチラシにグチャグチャと書かれてあると、クラシックの演奏会が...]]></content:encoded>
    </item>
  </channel>
</rss>
